ある夏の夜、私はコテージで4人の友人たちと怖い話をし合っていた。
1人づつ自分の知っているゾッとする話をしていく。
そしてとうとう私の番になった。
私はポツリと簡潔に言った。
「実は私はガンなんだ。」
一瞬その場にいた全員があっけに取られたような空気が流れた。
「本当だ。冗談ではないんだ。先月鈴谷の病院で精密検査を受けてな。」
私は隣にいた鈴谷を指差した。鈴谷は実際に大学病院で外科医をしている。
事実本当に私は先月彼の病院で精密検査をし、どこにも異常は無いとの結果が出ていた。
だが鈴谷は機転の利く男だし、私の怖い話を盛り上げるために話を合わせてくれるだろう。
「結果は良好と言われたが、何、長い付き合いだ。本当はどんな結果だったのかはわかる。
しかし1人で死ぬのもなかなか恐ろしい。ついてはさっきまで皆で食べていた料理に遅効性の
毒を入れたんだ。少々悪いとは思ったが何、みんなで一緒に逝こうじゃないか」
友人たちは誰も何も言わなかった。妙な緊張感が流れた。
「…というのが私の怖い話なんだ。どうだい?ゾッとしたろ?
冗談に決まってるだろw脅かしてすまなかったなw」
私の予想に反して、場の空気は緩まなかった。
突然、鈴谷が指を口に突っ込んで無理やり食べたものを吐き出し始めた。
それに続いて全員もそれにならった。
「おい、冗談だよすまなかった。私が毒など入れるわけないだろう。汚いからやめてくれよ」
何度なだめても皆誰も耳を貸さなかった。